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オトナ女子が選ぶ 「人生に役立つ」漫画たち

力強く生きる生き方の参考になる漫画

「繕い裁つ人」は力強く生きる生き方の参考になる漫画です。

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繕い裁つ人コミック
出典:https://www.amazon.co.jp/

漫画「繕い裁つ人」は力強く生きる女性の物語

池辺葵原作の漫画「繕い裁つ人」(講談社・全六巻)は、祖母の後をついで小さな洋裁店を営む、
市江という女性と、彼女を取り巻く町の人々との、静かな日常の交流を描いた作品です。

市江の生き方、働き方は、とてもシンプル。そしてとても頑固です。

お店にくるお客さんの人生まで受け止め、考えながら、その人の装いと、心に抱く夢のために、
最善を尽くすこと。

それが、市江にとっては、先代である祖母から受けついだ、仕立屋としてのありかたなのです。

多くの人の心を引きつけ、虜にする、極上の腕を持ちながら、自分のやり方を頑なに守り通し、
客層を広げて儲けるような考えを排除する、市江の生き方は、表面上はとても閉鎖的で、
発展性のないやり方に見えます。

けれども、気がつけば、彼女の回りには、自らの人生を丁寧に、誠実に生きようとする人々が、
途切れることなく集まってくるのでした。、

 

「繕い裁つ人」のあらすじ(少しだけネタバレあり)

南洋裁店を経営する仕立屋、市江は、まだ若い女性ですが、根っから職人気質の頑固者。

口を開けば辛辣で、服を作る人なのに、歯に衣など一切着せずに思ったことをずけずけと言う人です。

また、その仕事のしかたは、時には商売の範疇を超えて他人の心や事情に寄り添うため、
さっぱり儲けになりそうにないようにも見えます。

市江は生まれ落ちたときから、祖母の店を継ぎ、仕立屋になることを決定され、
自らも迷いなくそのように生きてきている女性です。

幼いころから、祖母に習ってミシンを踏み、服を縫う修行をし、類いまれな技術と才能を持つ
祖母から、多くを受け継いでいます。

物語の冒頭で、市江の祖母は亡くなっています。

その亡骸を、町の人々は、祖母が仕立てた服を着て、見送ります。

顧客たちの思いを含めて、祖母の残して全てを受け止めたところから、市江の、仕立屋としてのひとり立ちの物語が始まります。

市江の仕事の多くは、祖母がかつて町の人々のために仕立てた服を繕い、リフォームすること。

オリジナルの洋服を作る機会は多くはありませんが、着る人の魅力を最大限に生かすための技術と
思いやりを結集した、彼女のデザインは、目にとめた人の心を深くつかんで、離しません。

そんな市江の作る服を愛し、そのすばらしさを、もっと世の中に広く伝えよう、たくさん売ろうと
熱心にもちかけてくる、藤井という男性がいます。

藤井は、丸福百貨店の企画部で働く社員で、市江の服を自分の百貨店で取り扱うことができれば、
確実に多くの顧客の心をつかめると確信しています。

ところが市江は、藤井にどんな好意的な企画を持ち込まれても、決して首を縦に振りません。

とことん考え方の違う市江と藤井。

けれども、藤井は、市江の仕事や暮らしに直接ふれるうちに、彼女の思いに共感し、敬愛し、
藤井なりの方法で、彼女を支えていきたいと思うようになります。

市江も、やがて少しづつ、藤井という男性が、仕立ての世界に、そして百貨店という
一つの文化交流のあり方に抱く思いの深さを理解するようになっていきます。

二人の気持ちは、お互いの生き方や暮らしを大きく変容させることがないまま、少しづつ歩み寄り、
通い合い、やがて、お互いにいなくてはならない存在として、寄り添うようになっていきます。

町の人々の人生と絡み合いながら、カタツムリよりもさらに遅い歩みで進む、二人の恋は、
本当にこれを恋といっていいのかどうか分からないくらい、淡い姿のまま、ありつづけます。

気がつけば、そこにいるのが当たり前の存在となった二人ですが、やがて、遠く離れなければならない日がやってきます。

不在を実感し、お互いがどういう存在であったのかに、深く気づいていく二人…。

「繕い裁つ人」の物語は、個人経営の仕立屋、裁縫店という、時代の流れから外れた職人の世界を描いた
作品であると思いますが、何もかも捨ててでも選び取りたい恋とは対極的な、何ひとつ
捨てることのない覚悟で育み抜いていく、そんな希有な恋の過程が描かれた作品でもあると思います。

 

「繕い裁つ人」の名言

繕い裁つ人コミック2
出典:https://www.amazon.co.jp/

「繕い裁つ人」に登場する人々の多くは、主人公の市江と藤井も含めて、人生の岐路にありますので、
新しい段階に進んでいくことを促したり、その決意を示したりする言葉が、豊富に出てきます。

その中から、印象的なものを少しご紹介します。

「この人の服は善意で満ちている」 (藤井)

出会ったころには市江と対立していた藤井が、仕立屋としての市江の思いを自然と理解していく過程は、
いわゆる恋心の深まりとは違うものではありますが、それと同じくらい、読者にときめきを感じさせてくれる力があると思います。

物作りには商売が絡んできますから、完全に善意だけで作ることは難しい場合もあるはずですが、
市江の服作りは、極限までその善意を実現しようとしています。

藤井は、デパートの社員ですから、商売になりにくい市江の考え方とは、
立場上、相容れないはずでした。

けれども、商売以上に服飾の文化を愛する藤井は、市江の希有なありかたを、彼女の人柄ごと、
敬愛するようになっていきます。

人が、人を知り、その人生に思いを寄せていくことのすばらしさ、いとしさを、この作品は、
ふんだんに伝えてくれます。

市江の、仕立屋としてのありかたは、彼女の先代である、祖母から受け継いだものでもあります。

「どんなときにも、自分のためにおめかししろって。それが姉さんの口ぐせだ。自分のために服を仕立てて、自分のための服を着て、自分のためのダンスを踊んなさい。そうすれば、人生は思うがまま、自由自在だって。何の根拠もないのに、まじないみたいにとなえてた」 (那津)

那津は、市江の祖母の妹で、日本を離れ、長くアメリカでタップダンサーとして
舞台に立ってきた人です。

祖母は、かけがえのない妹が、いつでも若くみずみずしく、自由に踊れるような服を縫っては、
アメリカに送り続けていたのでした。

祖母亡きいま、市江が那津のために、祖母と同じ思いを込めて服を縫い、贈るのですが、
そのときに那津が、
市江に語ったのが、上の言葉です。

自分のためには、一度も服を仕立てたことがないという市江は、この言葉を静かに聞いていましたが、
その後、少しづつ、自分の思いを生かす方向へと、ゆるやかに人生の舵を切っていきます。

それは、大切な裁縫店と先代の思いを守りながら、藤井と同じ方向を見ていく人生であるのでしょう。

 

映画「繕い裁つ人」

繕い裁つ人DVD
出典:https://www.amazon.co.jp/

映画「繕い裁つ人」は、原作の魅力を生き生きと現実化し、見る人々を、市江たちの生きる世界へと、
深くいざなってくれる佳作です。

中谷美紀の演じる南市江は、頑固で素敵で、まさに原作の市江そのもの。

三浦貴大の藤井は、初々しい社員という印象で、市江と並ぶとだいぶ年下に見えてしまうのですが、
ああたしかに、この人は藤井だなと思わせる演技を見せてくれます。

他に、片桐はいり、中尾ミエ余貴美子、伊武雅刀など、魅力ある俳優達の存在感が、
市江の世界をいっそうリアルに、奥深くしてくれています。

平井堅が歌う主題歌「切手のないおくりもの」も、まさに市江と、彼女を取り巻く人々の暮らしや
人生にピッタリの楽曲でした。

 

まとめ

「繕い裁つ人」は、多くの大人女性たちの心をつかみ、深い共感や憧れを呼んだ作品です。

現代日本では、生まれたときから家業を継ぐと決められている女性というものは、
だいぶ少なくなっているのではないかと思います。

家業に限らず、生き方を親に決められていたとしても、自分の行きたい道を選んで、
家を離れることが、昔よりはずっと容易な時代になっています。

けれども、女性が自由になったと言われる反面、生き方に迷う女性が多いのも事実。

進学はどうしたらいいのか。何を目指せばいいのか。
就職は、結婚は、子どもは。
女性として、どうあるべきなのか。どう生きるべきなのか。

そもそも、何が自分にとっての幸せや、生き甲斐となるのか、つかめないまま、大人になり
時代の状況に流されていく女性も、少なくないことでしょう。

「繕い裁つ人」の市江の人生は、そうした女性たちへの、一つの答えを示しているのではないかと
思います。

市江のような仕立屋になる、もしくはクリエイティブな仕事をする、というようなことではありません。

地域に根を張り、ふれあう人々の顔と暮らしと向き合い、家族を愛し、友人を愛し、
着実になにかを積み上げ、守り、育てていく暮らし。

それは、仕立屋だけでなく、どんなお仕事でも、主婦という立場でも、出来ることではないかと
思います。

愛すべき物語である、「繕い裁つ人」は、いまの時代に生きる女性にとって、とても大切なものを
教えていると思います。

ライター:めだまり

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